【質問者】井上 茂 東京医科大学公衆衛生学分野主任教授
【運動について短時間でも毎回話すこと。無理なく段階的に進めること】
WHOの身体活動に関するガイドラインでは「医療の場での身体活動推奨が重要」とし,患者等に対し身体活動状況をアセスメントすること,「身体活動を増加させ,安静な生活を減らすよう働きかけるシステムの着実な実施・強化が必要である」としています1)。スポーツ庁の調査2)では,障害児・者が障害発生後に運動・スポーツを始めた理由として「医師からの奨め」が他の理由より高く(医師からの奨め22.0%,理学療法士からの奨め5.7%,テレビやインターネット3.1%,スポーツ指導者からの奨め2.0%,学校の先生の奨め1.6%),患者に身近な医師が,本人の身体状況や運動実施状況,希望をふまえて助言することが効果的な例と言えます。
具体的には,短時間でも運動を話題にすることから始めます。特定健診の質問票には運動や身体活動,体力に関する設問が含まれています。「後期高齢者の質問票」では週に1回以上の運動習慣,歩行速度の低下,転倒などの設問が含まれています。慢性疾患の診療の際,初診時だけでなく,毎回の診療時に患者に運動実施状況を尋ねることが重要です。
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