株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

未熟児網膜症[私の治療]

No.5182 (2023年08月19日発行) P.51

近藤寛之 (産業医科大学眼科学教室教授)

登録日: 2023-08-17

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
    • 1
    • 2
  • next
  • 未熟児網膜症は小児に重篤な視覚障害を生じる疾患である。網膜血管は妊娠後期に入っても周辺部に向かって形成を続けており,網膜血管の完成する36週以前に出産すると周辺部の網膜は無血管のままである。無血管網膜からは血管内皮増殖因子(VEGF)が産生され,新生血管と増殖組織が生じる。さらに硝子体の収縮が起こると網膜剝離を生じ,その進行によって視覚障害や失明に至る。未熟児網膜症の治療は網膜剝離の発症を予防する治療と網膜剝離に対する治療がある。いったん網膜剝離を生じると視覚障害を起こす危険性が高いので,できる限り網膜剝離発症の予防に努める必要がある。

    ▶診断のポイント

    眼底検査を行って診断する。修正週数(在胎週数+出生後週数)29週を目安として検査を開始する。網膜症は国際分類に従い,網膜血管の発育度(発育の悪い順にzoneⅠ~Ⅲ),進行度(stage 1~5),網膜症の活動性(plus disease:後極血管の拡張・蛇行)の有無,の3つの指標で評価する。

    網膜症にはstageごとに進行するタイプ(標準型)とstage分類に従わずに急激に悪化するタイプ(激症型)がある。未熟児網膜症はいったん悪化すると治療できる時期が限られているため,治療のタイミングを見逃さないように注意する必要がある。特に激症型は進行が速く,早期診断が重要である。初期には網膜血管の活動性が目立たなくても,網膜出血の多発などの徴候が診断のポイントとなる。

    残り1,242文字あります

    会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する

    • 1
    • 2
  • next
  • 関連記事・論文

    関連書籍

    もっと見る

    関連求人情報

    関連物件情報

    もっと見る

    page top