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多発性骨髄腫[私の治療]

No.5205 (2024年01月27日発行) P.41

鈴木一史 (東京慈恵会医科大学腫瘍・血液内科講師)

登録日: 2024-01-25

最終更新日: 2024-01-23

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  • 多発性骨髄腫は形質細胞由来の血液癌で,60歳代以降に好発する(5~6人/10万人)。貧血,骨病変,腎障害,高カルシウム血症などの臨床症状が出現した患者が治療適応となる。

    ▶診断のポイント

    総蛋白/アルブミン乖離,原因不明の貧血,腎障害,非典型的な骨折を認めた場合,蛋白分画検査,免疫グロブリンを測定する。M蛋白を認めた場合,専門医に相談する。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    年齢(65~70歳未満),臓器機能,患者の希望により,移植適応か否かを最初に決定する。移植適応例は,初期治療で部分奏効が得られた場合,自家移植を実施し,その後,移植後治療を行う。移植非適応例の初期治療は抗CD38モノクローナル抗体薬(MoAb)であるダラツムマブを含む治療を行う。再発・難治例の治療は,前治療,臓器機能,社会的背景により決定する。CD38MoAb投与歴がない患者では,同薬剤を含む治療を選択する。プロテアソーム阻害薬,免疫調整薬間のクラススイッチは,初期治療から病勢進行までの期間,合併症を考慮して選択する。BCMAキメラ抗原受容体T細胞(CART)療法は3レジメン以上の治療歴を有する患者において有望であるが,スロット数が限定されているため,治療を希望する場合,実施施設に早めに問い合わせる。

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