株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

アトピー性皮膚炎[私の治療]

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • prev
    • 1
    • 2
  • ▶治療の実際

    【保湿(全身共通)】

    寛解導入,寛解維持を通じて使用する。

    〈びらんが多い場合〉

    一手目 :ヒルドイドソフト軟膏(ヘパリン類似物質)1日2回(塗布)

    〈びらんが少ない場合〉

    一手目 :ヒルドイドクリーム(ヘパリン類似物質)1日2回(塗布)

    〈べたつきを嫌う場合〉

    一手目 :ヒルドイドローション(ヘパリン類似物質)1日2回(塗布)

    二手目 :〈処方変更〉ヒルドイドフォーム(ヘパリン類似物質)1日2回(塗布)

    【抗炎症外用薬】
    〈寛解導入期〉

    ①頭部

    一手目 :アンテベートローション(ベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステル)1日2回(連日塗布)

    ②顔

    一手目 :軽症:ロコイド軟膏(ヒドロコルチゾン酪酸エステル)1日2回(連日塗布),中等症:リドメックス軟膏(プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル)1日2回(連日塗布),重症:リンデロン-V軟膏(ベタメタゾン吉草酸エステル)1日2回(連日塗布)

    ③体幹四肢

    一手目 :アンテベート軟膏(ベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステル)1日2回(連日塗布)

    〈寛解維持期〉

    ①頭部

    一手目 :アンテベートローション(ベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステル)1日1~2回(リアクティブ療法またはプロアクティブ療法)

    ②顔

    一手目 :プロトピック軟膏0.1%(タクロリムス水和物)1日1~2回(連日塗布またはプロアクティブ療法)

    二手目 :〈処方変更〉コレクチム軟膏0.5%(デルゴシチニブ)1日2回(連日塗布)

    三手目 :〈処方変更〉モイゼルト軟膏1%(ジファミラスト)1日2回(連日塗布)

    ③体幹四肢

    一手目 :コレクチム軟膏0.5%(デルゴシチニブ)1日2回(連日塗布)

    二手目 :〈処方変更〉モイゼルト軟膏1%(ジファミラスト)1日2回(連日塗布)

    三手目 :〈処方変更〉アンテベート軟膏(ベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステル)1日1〜2回(リアクティブ療法またはプロアクティブ療法)

    【全身療法】

    外用療法のみでコントロールできない場合に併用する。まず寛解導入に使用するが,寛解維持期にも必要となることが多い。

    一手目 :デュピクセント皮下注ペン(デュピルマブ)1回1本(300mg)2週間ごと(自己注射可能)

    二手目 :〈処方変更〉リンヴォック15mg錠(ウパダシチニブ水和物)1回1錠1日1回(夕食後)

    三手目 :〈二手目を増量〉リンヴォック30mg錠(ウパダシチニブ水和物)1回1錠1日1回(夕食後)

    【時に悪化する症例の場合】

    悪化時に限定して外用療法に短期間併用する。

    一手目 :ネオーラル50mgカプセル(シクロスポリン)1回3カプセル1日1回(朝食前)

    再燃時1~4週間程度内服する。

    ▶専門家へのコンサルト

    アトピー性皮膚炎に類似するものの,アトピー性皮膚炎の治療で悪化させてしまう疾患もあるため(皮膚リンパ腫など),皮疹が典型ではない,または,期待したほど治療効果が得られない場合,診断の再確認が必要となる。また,膿痂疹やカポジ水痘様発疹症などの合併症を生じている場合には,これらとアトピー性皮膚炎の両方の治療を並行させなければならない。このような場合,高度な皮膚科学的技能が要求されるため,専門家へコンサルトする。

    常深祐一郎(埼玉医科大学医学部皮膚科教授)

  • prev
    • 1
    • 2
  • 関連記事・論文

    もっと見る

    関連書籍

    もっと見る

    関連物件情報

    もっと見る

    page top