日本医療機能評価機構は5月15日に公表した「医療安全情報No.210」で、人工呼吸器使用中の人工鼻と加温加湿器の併用について注意喚起した。2019年1️月〜24年3月末までの間に人工鼻が結露で閉塞し、換気が困難になったケースを含む5件の事例報告があったことを明らかにした。
機構は事例発生の主な背景要因として、(1)人工鼻と加温加湿器の併用が禁忌だと知らなかった、(2)加温加湿器を使用する際に、人工鼻が装着されていることに気づかなかった、(3)人工鼻を装着している患者に人工呼吸器回路を接続する際に、加温加湿器が接続されていることに気づかなかった―などを挙げている。
今回の医療安全情報で紹介された2事例の発生経緯をみると、1例目の患者は夜間のみ人工呼吸器を装着し、人工鼻を使用していた。痰の粘稠度が高くなったため加温加湿器を接続した際、担当者は人工鼻が併用禁忌であることを知らず、人工鼻を外さなかった。その結果、加温加湿器の使用開始から2日後に患者のEtCO2は50〜60mmHg台に上昇。人工呼吸器回路を確認したところ、人工鼻が結露で閉塞していたことが判明した。
2例目の患者は、自宅で在宅用の人工呼吸器に加温加湿器を装着して使用していた。入院することになり、加温加湿器を外し、人工鼻を装着した状態で病院に搬送。入院後に看護師が家族の持参した加温加湿器を取り付けたが、この時、人工鼻が装着されていることに気づかなかった。その後、看護師が人工呼吸器チェックリストに基づきチェックを行った際に、人工鼻を装着したまま加温加湿器を使用していたことに気づいた。
事例が発生した医療機関では、①人工鼻と加温加湿器は併用禁忌であることを周知する、②患者に加温加湿器の付いた人工呼吸器を装着する際には人工鼻が装着されていないことを確認する―といった再発防止策が講じられている。