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来年2月に省令案取りまとめへ - 厚労省検討会が初会合も議論膠着 [医療事故調査制度] 

No.4726 (2014年11月22日発行) P.7

登録日: 2014-11-22

最終更新日: 2016-11-17

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【概要】来年10月から始まる医療事故調査制度のガイドライン策定に向け厚労省検討会が初会合を開いた。来年2月に意見を取りまとめ、パブコメを経て3月には省令を公布する。


来年10月にスタートする医療事故調査制度のガイドライン策定に向け、厚生労働省の「医療事故調査制度の施行に係る検討会」の初会合が14日、開催された。座長には山本和彦氏(一橋大院教授)が選出され、来年2月末をメドに検討会として省令案の取りまとめを行う。3月にはパブリックコメントを実施した上で省令を公布、4月以降にガイドラインの策定・公表、10月から実施、という流れになる見通しだ。

●橋本政務官「法律の趣旨に従った議論を」
初会合には橋本岳厚労政務官が出席。橋本政務官は冒頭の挨拶で、医療事故調を巡ってはこれまで10年以上にわたり様々な議論がなされてきたにもかかわらず、合意に至らなかったとの認識を示し、「改正医療法による今回の制度創設の目的はシンプルで、原因を分析し再発を防止することにある」と強調。あくまで法律の趣旨に従った議論を求めた。
同日の会合では、改正医療法成立後の7月から事故調のガイドライン案を検討していた厚労省研究班(代表=西澤寛俊・全日本病院協会会長)が10月にまとめた中間報告と、日本医療法人協会の「現場からの医療事故調ガイドライン検討委員会」がまとめた最終報告書が資料として提出され、意見交換が行われた。
意見交換では、医療機関の管理者が、医療事故として全国に1機関設置される第三者機関に報告する対象を巡り、議論が膠着。医療法では報告対象を「医療従事者が提供した医療に起因、または起因すると疑われる死亡・死産のうち、医療機関の管理者がその死亡・死産を予期しなかったもの」としているが、条文で規定されていない「医療過誤」「管理」などどこまでを報告対象の範囲とするかが争点となった。
宮澤潤委員(弁護士)は「制度の趣旨に基づき原因分析と再発防止につなげるには、報告対象を狭くではなく幅広く捉えるべき」と訴え、同じく弁護士の加藤良夫委員(南山大院教授)は管理について「薬の管理などに問題があれば、それは医療安全につなげるべきもの。管理を医療から完全に除外することは難しい」との考えを示した。
一方、医法協ガイドラインについて説明した小田原良治委員(医法協)は「医師は診療を最優先すべきであり、報告対象はコストをかけて分析する必要のある事案だけにすべき」と強調。管理についても「医療行為に起因する管理のみが対象となっているのは明白」とした。
こうした議論を受け、厚労省の土生栄二医政局総務課長は「具体的に何が該当するのか、これから議論していただく」としつつ、医療の中にある管理は対象に含まれるとの考えを示した。同検討会は今後、月1~2回のペースで会合を開く予定。

【記者の眼】医療事故調ガイドラインの策定に向けた議論がスタートしたが、橋本政務官が懸念したように初会合から議論は平行線を辿った印象が強い。複数の委員からは、来年2月までに意見の取りまとめができるかどうかを不安視する意見も聞かれた。(T)

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