日本医師会などが主催する「食育健康サミット」が11月27日、都内で開かれ、高齢者の食事摂取について講演した葛谷雅文氏(名大院地域在宅医療学・老年科学教授)は、十分な蛋白質摂取と運動がフレイルの予防に有効であることを強調した。
日本老年医学会は、高齢者が要介護状態になる前段階を「フレイル」と名付け、予防の重要性を呼び掛けている。フレイルは「筋肉量の低下」「歩行速度の遅延」など5項目の診断基準のうち、3項目が該当した場合と定義される。
葛谷氏は、高齢者でも適切な蛋白質摂取と運動の組み合わせにより、筋肉量が増加することから、十分な蛋白質摂取がフレイルの予防につながると指摘。日本人の食事摂取基準で高齢者に推奨されている体重当たりの蛋白質量は、一般成人より多いにも関わらず、実際の蛋白質摂取量は70歳以上で低下していることを問題視した。
講演では、年齢別の栄養管理についても言及。「65歳以下は栄養の過剰摂取が、75歳以上は低栄養が主な問題」とした上で、65歳から75歳は「過栄養と低栄養が混ざっている状態」であり、個別対応が望ましいと提言した。