胃がん検診ガイドライン2014年度版を作成中の国立がん研究センターはこのほど、たたき台(ドラフト)を公表し、12月22日に開催したフォーラムで、ガイドライン作成委員会の祖父江友孝氏(阪大)と濱島ちさと氏(国立がん研究センター)が解説した。
ガイドライン改訂は2005年度以来。14年度版では、胃X線検査と胃内視鏡検査を「死亡率減少効果を示す証拠がある」として対策型検診として推奨。また40歳代の胃がん罹患率は低いため、検診対象を50歳以上とし、内視鏡の検診間隔は2~3年とした。
一方、ペプシノゲンとヘリコバクター・ピロリ抗体併用法(ABC検診)については、「死亡率減少効果を検討した研究はなかった」として、対策型検診として推奨しなかった。
フォーラムでは、X線検査の推奨についてフロアから「日常診療ではほとんど使用されていないため読影医が減少し時代遅れ」「胃がんリスクが低いピロリ菌未感染者にも、被ばくの不利益があるX線を毎年推奨するのか」などの異論が出た。これに対し作成委員会では、「ガイドラインは過去のエビデンスが重要で、診断医不足などの実態に判断が左右されるものではない」などと説明。
このほか「50歳以下でもピロリ菌感染者は胃がんリスクが高い」として、リスク層別化を組み込む指摘もなされたが、「検討すべき課題と思うが、その基礎となる研究がない」と回答した。
作成委員会では、今年度中に完成版を公表予定。