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腹腔鏡死亡リスク「開腹より高い事実ない」 - 日本外科学会調査結果

No.4735 (2015年01月24日発行) P.10

登録日: 2015-01-24

最終更新日: 2016-11-18

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群馬大学医学部附属病院で腹腔鏡による肝切除術を受けた患者8人が死亡した問題を受け、日本外科学会と日本消化器外科学会は15日、「NCDデータを用いた全国消化器外科領域腹腔鏡手術の現況に関する緊急調査結果(速報)」を公表した。
調査は、日本外科学会をはじめ、計10学会で組織するNational Clinical Database(NCD)の手術データを使用。胃切除術や肝切除術(外側区域を除く1区域以上)など計7術式の33万7069件について、90日以内の手術に起因する死亡数などを集計した。このうち肝切除術の死亡率は、全体では3.
69%、開腹手術は3.76%、腹腔鏡手術は2.27%だった。結果を踏まえ、日本外科学会の国土典宏理事長は会見で「腹腔鏡手術のリスクが開腹手術に比べて高いという事実は見当たらない」と述べた。
一方、群馬大病院では2010年12月から14年6月までに腹腔鏡を使った肝切除術92例のうち8人が死亡。その死亡リスクは単純計算では8.7%で、患者重症度などに違いがあるため単純比較はできないが、NCDの2.27%の約4倍となっている。
国土理事長は「個々の施設について高いか低いかは言えない」とした上で、「高いと思われるなら、そういう感覚もあり得る」とコメントした。

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