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【文献 pick up】わが国HF入院例の大規模実態調査/ESC HF誌

宇津貴史 (医学レポーター)

登録日: 2024-09-15

最終更新日: 2024-09-13

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わが国における心不全(HF)入院例の実態については、JROADHFCHART-2から報告されているが、このたび、民間救急病院ネットワークのデータが93日、ESC Heart Failure誌に掲載された。類型として最も多かったのはHFpEFである。著者は日本ベーリンガーインゲルハイムの小野康久氏ら。

【対象】

今回解析対象とされたのは、日本17施設から登録されたHF入院7212例である。登録期間は201720年。EF不明例などは除外されている。これら17施設はいずれも急性期民間病院であり、NPO法人「VHJ機構」に参画している。

【方法】

これら7212例の背景因子や院内治療を横断的に比較し、加えて探索的ではあるが退院後の転帰も比較した。

【結果】

・背景因子

HF類型として最多はHFpEF44%(3183例)、次いでHFrEF38%2749例)、HFmrEF18%1280例)だった。EF平均値はHFpEF群:62.6%HFrEF群:28.3%HFmrEF群:44.3%である。またBNP平均値はHFpEF群:639.0pgmLHFrEF群:1274.7pgmLHFmrEF群:1021.4pgmLだった。

合併疾患最多は高血圧で、HFpEF45%HFmrEF41%HFrEFでは37%に認めた。次いで多かったのが糖尿病となり、3類型とも合併率は約30%前後だった。なお冠動脈疾患(含・心筋梗塞既往)合併率は、HF類型を問わずおよそ35%だった。

・治療

入院後のβ遮断薬処方率はHFrEF81%HFmrEF72%HFpEF59%だった。ACE阻害薬/ARBHFrEF63%HFmrEF59%HFpEF53%である。また全体の87%が心リハを受けていた。

・院内転帰

入院中のHF増悪が最多だったのはHFmrEF41%)、次いでHFrEF39%)、HFpEF33%)だった。また全体で5.7%が院内死亡の転帰をとったが、HF死亡(3.0%)の頻度はHF類型間で有意な差はなかった。

・退院後転帰

退院後平均324日の間に、約21%が再入院した。HFpEFHFrEFHFmrEF間に入院率の差はなかった。また同期間に8.7%625例)が死亡した。類型別のHF死亡率はHFrEFが最も高く5.5%、次いでHFpEF4.7%HFmrEF4.6%だった(ただし群間に有意差なし)。

本研究は日本ベーリンガーインゲルハイムから資金提供を受けた。筆頭著者を含む2名は同社社員だった。さらにメビックス株式会社社員も1名、著者に名を連ねた。

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