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【文献 pick up】AF合併HFpEFでは非CV合併症のほうが転帰との相関は強?:伏見AFレジストリほか/ESC HF誌

宇津貴史 (医学レポーター)

登録日: 2024-10-01

最終更新日: 2024-10-01

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左室機能の保たれた(EF≧50%)心不全(HFpEF)では、46割が心房細動(AF)を合併するという[Fauchier L, et al. 2023]。このようなAF合併HFpEF例の心血管系(CV)転帰には、貧血などの非CV合併症による影響のほうがCV合併症よりも大きい可能性がある。わが国における観察研究の結果として、京都医療センターの濱谷康弘氏らが921日、ESC Heart Failure誌で報告した。

【対象】

今回の解析対象は、AFを合併するHFpEFEF≧50%)例である。主解析では、地域悉皆登録研究であるFushimi AFレジストリのAF 4496例中、HFpEFを認めた755例(平均年齢77.5歳)が解析対象となった。加えて探索的検索として、心不全(HF)入院例を全登録したKyoto Congestive Heart Failure(KCHF)レジストリから、AF診断歴のあるHFpEF 878例(平均年齢82.0歳)が解析された。

【方法】

Fushimi AFレジストリ/KCHFレジストリ別々に、「心臓死・HF入院」のリスク因子を探った。

【結果】

(1)Fushimi AFレジストリ

・転帰

中央値4.4年間の観察期間中、33%が「心臓死・HF入院」を来した(8.2%/年)。

・予知因子

多変量Cox回帰解析で「心臓死・HF入院」の有意な予知因子として残ったのは以下の5項目だった。すなわち、「COPD」(ハザード比:1.8795%CI1.08-3.22)、「貧血」(同:1.831.37-2.46)、「75歳以上」(1.721.26-2.36)、「CKD」(1.691.27-2.26)、「糖尿病」(1.551.15-2.09)―である。

一方、CV合併症である「冠動脈疾患」や「弁膜症」「高血圧」「持続性AF」などは有意な因子とならなかった。

(2)KCHFレジストリ

・転帰

中央値1.3年間で37%に「心臓死・HF入院」を認めた(34.7%/年)。

・予知因子

こちらのレジストリでも「心臓死・HF入院」の有意な予知因子となっていたのは「貧血」(同:1.521.10-2.08)、「75歳以上」(1.461.03-2.08)、「CKD」(1.441.13-1.85)、「糖尿病」(1.371.05-1.78)―の非CV疾患/因子だった(COPDは有意な因子とならず)。またFushimi AFレジストリと同様、CV疾患は有意な予知因子とはならなかった。

【考察】

濱谷氏らは、これらの結果がAF合併HFpEF例に対するCV合併症治療の必要性を否定するものではないが、それに加えて非CV合併症への留意も必要であり、そうすると患者ごとに異なった包括的アプローチが必要になるだろうと考察している。

本研究は研究資金の一部を日本医療研究開発機構(AMED)から提供された。またFushimi AFレジストリは、ベーリンガーインゲルハイム、バイエルヘルスケア(論文ママ)、ファイザー、ブリストル マイヤーズ スクイブ、アステラス製薬、アストラゼネカ、第一三共、ノバルティスファーマ、MSD、サノフィ・アベンティス、武田薬品から資金提供を受けている。

KCHFレジストリはAMEDから研究資金の一部提供を受けている。

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