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うっ血乳頭[私の治療]

No.5244 (2024年10月26日発行) P.38

橋本雅人 (中村記念病院眼科部長)

登録日: 2024-10-27

最終更新日: 2024-10-22

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  • うっ血乳頭とは,頭蓋内圧亢進による視神経乳頭の腫脹を言う。頭蓋内圧が亢進すると,視神経周囲くも膜下腔を流れる髄液圧が上昇し,視神経を圧排する。そのため軸索流のうっ滞が起こり,視神経乳頭が腫脹する。

    ▶診断のポイント

    【症状】

    起床時の頭痛,耳鳴,一過性視曚が特徴であり,頭蓋内圧亢進が重度の場合は,外転神経麻痺を生じることがある。

    【検査所見】

    眼底検査において両眼の視神経乳頭腫脹を示すが視力は良好で,視野はマリオット盲点の拡大を認める。MRI所見では脳腫瘍による脳室の圧排,偏位が多く,二次的にトルコ鞍空洞症候群を伴うこともある。頭蓋内病変がない場合はMR venographyを行い,脳静脈洞狭窄の所見があれば脳静脈洞血栓症を,異常がなければ特発性頭蓋内圧亢進症(偽脳腫瘍)を疑う。特発性頭蓋内圧亢進症の原因としては,肥満,内分泌代謝異常,薬物(ビタミンA,テトラサイクリン投与),感染,貧血等の関与が知られている。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    うっ血乳頭の原因となる頭蓋内占拠性病変を認めた場合,脳神経外科にコンサルトし外科的治療を依頼する。特発性頭蓋内圧亢進症を疑う場合は,髄液穿刺を行い脳圧亢進の確認をするのが望ましい。髄液圧が初圧で25cmH2O以上あれば診断基準を満たす。治療は脳圧降下薬の投与が主体となる。

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