今年10月にスタートする医療事故調査制度について検討する厚労省の「医療事故調査制度の施行に係る検討会」の第6回会合が2月25日に開かれ、報告書取りまとめに向けた議論を行ったが、意見が一致せず、取りまとめが見送られた。今後、座長が各委員の意見を調整し、それでもまとまらなかった場合に再度検討会を開催する。
大きく意見が対立したのが、医療機関が行った調査の遺族への説明方法。これまでの議論では、調査報告書の遺族への提出を義務化するよう求める意見の一方で、調査報告書が個人の責任追及のきっかけとなり、冤罪を生む危険性があるなどの懸念から、提出義務化に反対する意見が出ていた。
こうした議論を踏まえ厚労省は、「口頭(説明内容をカルテに記載)または書面(報告書または説明用の資料)もしくは、その双方の適切な方法により行う。調査の目的・結果について、遺族が納得する形で説明するよう努めなければならない」との案を提示。報告書提出は努力義務にとどめた。
会合では厚労省案を支持する意見も多く出たが、「報告書原本を出さないと“納得”しないという場合がある。強制開示と読める文言には反対」「“納得”という抽象概念は好ましくない。報告書の交付が大前提」など、双方の立場から反対意見が出された。
委員から「『遺族が“希望”する方法で説明するよう努める』ではどうか」との代案も出たが、意見は一致しなかった。