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ショック[私の治療]

No.5250 (2024年12月07日発行) P.28

西山 隆 (沖縄県立中部病院救急科部長)

登録日: 2024-12-04

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  • ショックは,組織の酸素需要に見合った酸素供給が行われない状態で,対応が遅れると細胞機能障害ならびに臓器障害へ進展する。①循環血液量減少性ショック,②血液分布異常性ショック,③心原性ショック,④閉塞性ショックに大別され,いずれにせよショックの早期認知と速やかな処置の開始が鍵となる。

    ▶病歴聴取のポイント

    ①大量出血や脱水の原因となる嘔吐,下痢の存在,②sick contact,アレルギー歴の有無,③心疾患や内服薬の既往,④痛みの部位・性状・変化等について確認する。

    ▶バイタルサイン・身体診察のポイント

    収縮期血圧90mmHg以下の持続はショックとみなされるが,その診断に血圧低下は必須ではなく,早期指標として感度は低い。臓器の灌流状態を推定できる「3つの窓」として,皮膚,腎,脳の所見はショックの診断に有用で,交感神経系の緊張に伴う頻脈や血管抵抗増加による顔面蒼白,皮膚の冷感・湿潤,代謝性アシドーシスに対する代償性の頻呼吸,脳血流低下を示唆する不穏や無欲様顔貌は重要な所見となる。

    ▶緊急時の処置

    ショックが認知されれば原因が明らかになる前に処置を始める。そのため確実な気道確保と酸素投与(ventilation),輸液と薬剤投与のための静脈路確保と初期輸液の開始(infuse),病態に応じた適切な心血管作動薬の選択(pump)の適応(VIP rules)を考慮する。

    【出血性ショック,体液喪失性ショック】

    出血性ショックでは止血と補液が原則であり,体液喪失性ショックでは循環不全を離脱するまで輸液を行う。

    一手目 両側上肢よりラクテック注(L-乳酸ナトリウムリンゲル液)の急速輸液

    二手目 〈一手目に追加〉輸血

    稀釈性凝固障害を考慮し,赤血球製剤,新鮮凍結血漿および血小板製剤を1:1:1の比率で投与する。

    WEBコンテンツ「ショック!の輸液戦略」

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