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酩酊状態から路上で寝込んでしまったことによる低体温症での死亡[〈今日使える〉死亡診断書・死体検案書の書き方・考え方〜当直・在宅・事故(14)]

No.5290 (2025年09月13日発行) P.30

監修: 久保真一 (福岡大学名誉教授)

執筆: 井濱容子 (横浜市立大学医学部法医学教授)

登録日: 2025-09-16

最終更新日: 2025-09-09

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【症例】

43歳,男性。冬季,午前0時に路上寝の通報を受けて,救急車で病院搬送された。発見時は土砂降りであり,着衣はずぶ濡れで,体からはアルコール臭がした。通報者によれば,「自分が帰宅した午後7時頃には,既に発見現場で寝ていたが,酔っ払いだと思って放置していた。雨も降ってきて,寒くなってきたので,心配になって確認に行ったところ,動かないので救急車を要請した」とのことであった。

搬送時,心肺停止であったが,蘇生術に反応して心拍が再開した。搬送時の体温は32℃で,加温等の治療を行ったものの,4時間後に死亡した。

血液検査からは,血中アルコール濃度2.5mg/mL(中等度酩酊)であった。重篤な外傷はなく,心拍再開後の心電図に虚血性変化を示す所見はなかった。死後CT検査でも骨折や臓器損傷はなく,頭蓋内損傷も認められなかった。

死者はアルコール依存症で,頻繁に酔いつぶれて警察に保護されている。死因は低体温症と推定された。

救急搬送先の医師として,死亡診断書(死体検案書)の交付を求められた。

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