43歳,男性。冬季,午前0時に路上寝の通報を受けて,救急車で病院搬送された。発見時は土砂降りであり,着衣はずぶ濡れで,体からはアルコール臭がした。通報者によれば,「自分が帰宅した午後7時頃には,既に発見現場で寝ていたが,酔っ払いだと思って放置していた。雨も降ってきて,寒くなってきたので,心配になって確認に行ったところ,動かないので救急車を要請した」とのことであった。
搬送時,心肺停止であったが,蘇生術に反応して心拍が再開した。搬送時の体温は32℃で,加温等の治療を行ったものの,4時間後に死亡した。
血液検査からは,血中アルコール濃度2.5mg/mL(中等度酩酊)であった。重篤な外傷はなく,心拍再開後の心電図に虚血性変化を示す所見はなかった。死後CT検査でも骨折や臓器損傷はなく,頭蓋内損傷も認められなかった。
死者はアルコール依存症で,頻繁に酔いつぶれて警察に保護されている。死因は低体温症と推定された。
救急搬送先の医師として,死亡診断書(死体検案書)の交付を求められた。