【概要】昨年10月からスタートした医療事故調査制度や医師法21条を見直すのかどうか、現在、自民党ワーキングチームで議論が行われている。ただ、医療界の中でもさまざまな意見があり、6月の期限までに意見を集約するのは難しいとみられる。
事故調の制度創設を規定した改正医療法では、附則の中で、「政府は医師法21条の届出や事故調のあり方を見直すこと等について検討を加え、法律の公布後2年以内に必要な措置を講ずる」と記述している。その期限は今年6月25日だ。
日本医師会は今年2月、医師法21条改正案を公表(表1)。日医は、2000年に当時の厚生省が示した誤った21条の解釈・指導が原因となって医療界が混迷に陥ったと問題視。その上で、医師法21条の立法目的は犯罪捜査の端緒を警察に提供するもので、医療事故死を刑事捜査する端緒を得るための制度ではないことから、不適切な解釈運用に起因する社会的混乱を沈静化するために改正案を作成したとしている。3月27日に行われた日医臨時代議員会で今村定臣常任理事は、同月8日の自民党の医療事故調査制度の見直し等に関するワーキングチーム(WT)(座長=後藤茂之衆院議員)で意見陳述したことを紹介し、「医師法21条も見直しの議論の俎上に載せる」との方針を示した。
■四病協「医師法21条改正論議は時間をかけて」
四病院団体協議会(日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会、日本精神科病院協会)も今月、医師法21条と事故調の見直しに関して見解を取りまとめた(表2)。医師法21条は事故調とは切り分けて時間をかけて検討することや、厚労省が21条の正しい解釈の運用を徹底する必要性を指摘。事故調の見直しについては、制度開始から半年しか経っていないため「時期尚早」としている。
4月5日には自民党WTが非公開で開催され、四病協と市民団体の「患者の視点で医療安全を考える連絡協議会」から意見聴取した。この中で四病協は上記の見解を主張。性急な見直しに反対した。
会議終了後、WTの後藤座長は記者団に対し、関係者間でさまざまな意見があることを認めた上で、「急いで結論が出るものではない。すべて(の論点)に結論を出すのではなく、6月に何らかの整理をしたい」との考えを示した。