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事故調の報告件数、半年間で188件 [厚労相「予想時と報告基準異なる」]

No.4802 (2016年05月07日発行) P.11

登録日: 2016-05-07

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医療事故調査制度の第三者機関「医療事故調査・支援センター」を運営する日本医療安全調査機構が今月、事故調がスタートした昨年10月から今年3月までの半年間の実績を公表した。センターへの報告件数は188件だった。
制度開始前に厚労省は年間1300~2000件の報告件数を予想していた。4月12日の閣議後大臣会見で、予想よりも報告件数が少ないことへの見解を求められた塩崎恭久厚労相は、「予想は今回の制度の対象範囲が決定される前の試算」と説明。日本医療機能評価機構が運営する医療事故情報収集等事業(用語解説)を前提に、「従来は“医療に起因” “予期しなかった”のどちらかに引っかかればカウントしていたが、今回の制度は両方を満たすケースなので、orからandになり、かなり狭くなっている」との認識を示した。
医療事故問題に詳しい井上清成弁護士は、23日に日本産婦人科協会が主催したシンポジウムでこの答弁を紹介し、賛同。「日本医療安全調査機構の発表では、センターへの相談件数は半年間で1012件。予想の年間報告数2000件と符号する。従来の基準“or”の感覚でセンターに相談し、今の基準“and”で絞り込んだ結果、5分の1になったのではないか」と分析。その上で、「センターへの報告対象ではなくても、院内の反省・研修材料にして、個々の医療機関の事情に応じた医療安全改善策をつくってほしい」と呼びかけた。 

【医療事故情報収集等事業】
【記者の眼】
医療事故情報やヒヤリ・ハット事例を恒常的に収集し、分析する事業。2004年に開始した。医療事故情報として報告する範囲は「誤った医療または管理を行ったことが明らかで、それに起因して患者が死亡、もしくは心身の障害が残った事例、または予期しない、もしくは予期を上回る治療を要した事例」などで、医療事故調査制度とは異なる。参加医療機関数は大学附属病院や国立病院機構などを中心に1026機関(報告義務275機関、任意参加751機関、3月31日現在)。2015年の医療事故情報報告数は3374件。

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