ジョージ・W・ブッシュ前米大統領(写真)が18日、女性のための予防医学をテーマに都内で開かれたシンポジウム(MSD主催)で講演した。厚生労働省が子宮頸がん予防ワクチン(HPVワクチン)接種の積極的勧奨を中止している状況について、「医師、科学者、行政はヒステリックな報道に惑わされずに冷静な判断をすべき」と指摘した。
ブッシュ氏は、官民連携のグローバルパートナーシップ事業として東南部アフリカ5カ国で子宮頸がん検診とHPVワクチンの普及活動を行う立場から、「世界のお手本のような保健医療制度を持つ日本でこのような事実があることに、大きなショックを受けた。副反応問題を深刻に捉え、調査していくことは当然重要だが、広い視野で先を見通すことも必要。日本の医学界・公衆衛生にとって重要な時期が来ている」と訴えた。
シンポにはローリー・H・グリムシャー氏(米コーネル大医学部長)も登壇し、日本では1日当たり10人が子宮頸がんで死亡していることを指摘。「世界各国の保健および規制当局がHPVワクチンの安全性プロファイルを確認し、接種を推奨している。予防できる病気での死亡リスクはゼロに近づけることが望ましい」と強調した。