昨年10月からスタートした医療事故調査制度の見直しについて議論していた自民党のワーキングチームがこのほど提言を取りまとめた。医師法21条の改正については議論が不十分であることから現時点では法改正は行わず、制度の運用改善策を厚労省や関係団体に求めるとしている。
事故調の制度創設を規定した改正医療法では、附則で「政府は医師法21条の届出や事故調のあり方を見直すこと等について検討を加え、法律の公布後2年以内に法制上の措置その他の必要な措置を講ずる」と記述。その期限が今年6月24日となっている。附則を受け、自民党の「医療事故調査制度の見直し等に関するワーキングチーム」(座長=後藤茂之衆院議員)は医療団体や患者団体からヒアリングを実施し、非公開で検討を行っていた。
自民党が示した運用改善策は、地域や医療事故調査等支援団体(支援団体)間において、「医療事故に該当するかの判断や院内調査の方法等の標準化を進めるため、支援団体や医療事故調査・支援センターが情報や意見を交換する場として、支援団体等連絡協議会(仮称)を制度的に位置づけ、中央レベルと地方レベルで連携を図る」など5項目(表)。
これを受け厚労省は、6月24日までに省令や通知でこれらの運用改善策を講じる方針。ただ、自民党ワーキングチームの提言は非公開の場でまとまったものだ。医療事故調査制度はすべての医療機関・助産所に義務化されているため、制度改正の影響は大きい。この提言に基づいて、法制上の措置として省令を公布する場合、制度改正の手続きとして今回の進め方が適切なのか議論を呼びそうだ。