【Q】
先頃,米国でのコレステロール治療に関する2013 ACC/AHAガイドライン(2013 ACC/AHA Guideline on the Treatment of Blood Cholesterol to Reduce Atherosclerotic Cardiovascular Risk in Adults)が大幅に変更され,心血管病の二次予防だけでなく,糖尿病患者においてもスタチン治療が推奨されています。さらに興味深い点は“Fire-and-Forget”と呼ばれ,乱暴に言うとスタチンを投与すれば終わりでありLDL-Cの管理目標値を設定しない,という考え方です。スタチンはもはやコレステロール低下薬という範疇の薬ではないのかもしれません。最近ではスタチンの様々な多面的な作用が解明されていますが,コレステロールが高くない糖尿病患者においてスタチンがどのような有益な作用をもたらすのでしょうか。熊本大学・松村 剛先生のご教示をお願いします。【A】
糖尿病が脳・心血管疾患などの動脈硬化性疾患の重大な危険因子のひとつであることは,久山町研究をはじめ多くの疫学研究でも証明されており,その危険因子として高LDL-C血症を含む脂質異常症が強く関連することも明らかにされています。実際に,糖尿病患者に対するスタチンを用いたコレステロール低下療法が動脈硬化性疾患(大血管合併症)の発症・進展を有意に抑制することは,多くの大規模臨床試験で証明されています。