【Q】
「○○症候群」という命名は,元来,原因不明ながらも共通の症候をまとめた概念であったはずであるが,最近は原因が明らかなものにも使われている。「○○症候群」と命名するとき,どのような基準があるのか。 (千葉県 K)【A】
人類の長い歴史の中で,我々は不健康な状態を病気と呼び,その原因,症状,経過などの特徴によって,様々な「病名」を付けて呼んできた。病気の認識と命名の仕方は,その時代の社会状況や医学的知識によって異なる。おそらく最初は症状名がつけられ(「熱病」「頭痛」など),原因,病態生理や経過が同一と推定されるものが,単一疾患として認知されて,単一の病名が付けられたと考えられる。ご質問のように,いくつかの症状や症候のまとまりが観察されたときに,仮に「○○症候群」として記載され,研究が進むにつれて「○○病」という単一疾患として認知されることが多いが,現在でも「病気」と「症候群」の使いわけには明確な基準はないようである。
▼ 小川鼎三:医学用語の起り. 東京書籍, 1990.
▼ 風祭 元:こころの科学. 2002;105:13-8.