【Q】
新規経口抗凝固薬(novel oral anticoagulant:NOAC)について。トロンビン阻害薬,第Ⅹa因子阻害薬などを使用した場合,プロトロンビン時間国際標準化比(prothrombin time-international normalized ratio:PT-INR)などで評価できない理由をご教示下さい。 (千葉県 K)【A】
長年用いられているワルファリンは,その有効薬理作用を示す血中濃度幅が狭く,食事やほかの薬剤との相互作用や薬物代謝の個人差の影響が大きいことなどの理由により,服薬用量設定のためにPT-INRによるモニタリングが実施されています。PT-INRは利用される試薬にワルファリンによる値付けが行われている(international sensitivity index:ISI,国際感度指数)ため,ワルファリン服用者のみに利用すべきです。一方,NOACは有効薬理作用を示す血中濃度幅が広く,血中半減期が約半日と短いため,採血時間による凝固検査値変化が大きいなどの理由から,モニタリングは不要とされています。
1) Garcia D, et al:J Thromb Haemost. 2013;11 (2):245-52.
2) 北島 勲:血液フロンティア. 2012;22(7):45-52.
3) 北島 勲:心原性脳梗塞と経口抗凝固薬. フジメディカル出版, 2013, p88-99.
4) 北島 勲:医薬ジャーナル. 2014;50(2):97-102.