【Q】
私は小児病院に勤務していますが,他科の知人から,骨粗鬆症の治療薬について相談を受けることがあります。しかし,この十数年間に数多くの新薬が発売され,どの薬剤も有効性が高いと報告され,適切な選択方法がわかりません。特に既往歴がなく,骨粗鬆症以外は健常に見える高齢者には,どの薬剤を勧めるべきでしょうか。新潟大学大学院・遠藤直人先生のお考えを。【A】
骨粗鬆症は骨が脆弱になり,骨折をきたすもので,高齢者に重篤な障害をもたらします。骨密度は骨強度を測る1つの指標で骨密度低下は骨脆弱ひいては骨折につながりますが,一方,仮に低骨密度であったとしても疼痛などの愁訴をきたさない例もよく見受けられます。また,脊椎骨折は本人に認識されずに骨折に至っていることもあり,画像で初めて既存骨折として確認される例も多くみられます。高齢者では,骨は脆くとも外見は元気で健常に見える人もおられます。このように,骨の状況を外から推し量ることはなかなか難しいものです。