厚生労働省は12日、罰則付きの受動喫煙防止対策を盛り込んだ法案の国会提出を目指すことを明らかにした。塩崎恭久厚生労働相は14日の閣議後会見で「まずは公開の場で関係業界の意見をヒアリングする」との考えを示した。
健康増進法および労働安全衛生法では、多数の者が利用する施設の管理者・事業者の受動喫煙防止措置を規定しているが、努力義務にとどまっている。このために世界保健機関(WHO)は日本の対策を世界でも最低レベルと判定していた。
2020年の東京五輪や19年のラグビーワールドカップに向け、新法案では、公共施設は原則建物内禁煙とするイギリスと喫煙室の設置を認める韓国の混合型の制度を導入。多数の者が利用し、他施設の利用の選択が難しい施設は「建物内禁煙」、健康影響を防ぐ必要性が高い未成年や患者が主に利用する施設は「敷地内禁煙」、利用者側の嗜好性が強い施設は「原則建物内禁煙」とした上で、煙が外部に流出することを防ぐための措置を講じた「喫煙室」の設置を可能とする(表)。
対策の実効性を担保するため、施設利用者には「喫煙禁止場所で喫煙をしない義務」、管理者には「喫煙禁止場所の範囲や喫煙室の位置等を提示する義務」などを課し、義務違反者で勧告や命令にも従わない場合は罰則を適用する。