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高リスク骨髄異形成症候群(MDS)の治療 【高リスクMDSに対するアザシチジンの有効性と問題点】

No.4827 (2016年10月29日発行) P.56

多林孝之 (埼玉医科大学総合医療センター血液内科講師)

登録日: 2016-10-26

最終更新日: 2016-10-25

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骨髄異形成症候群(myelodysplastic syndrome:MDS)の病態には不明な点が多かったが,解析技術の向上によってMDSの発症や進展に関わる遺伝子異常が明らかになってきており,DNAやヒストンのメチル化制御,RNAスプライシングに関わる遺伝子の変異が見出された。

このような病態に基づいて,治療薬として脱メチル化薬であるアザシチジン(AZA)が開発され,高リスクMDSに対して従来の治療に比べ,全生存期間(OS)の延長や血球減少の改善効果をもたらすことが大規模比較試験(AZA-001試験)において明らかにされた。OS中央値が通常治療群では15カ月であるのに対して,AZA治療群では25カ月であった1)。AZA治療は外来通院での加療が可能なため,患者のQOLを保つことができる点でも有用である。さらに,造血幹細胞移植適応MDSにおける病勢コントロールに対して有効であると報告されている2)

しかし一方で,大規模観察研究では,AZA治療を行った高リスクMDSのOS中央値は13.5カ月と報告され3),AZA治療の限界も見出されている。MDSの病態に基づいた新たな治療戦略の構築が望まれる。

【文献】

1) Fenaux P, et al:Lancet Oncol. 2009;10(3):223-32.

2) Damaj G, et al:J Clin Oncol. 2012;30(36): 4533-40.

3) Itzykson R, et al:Blood. 2011;117(2):403–11.

【解説】

多林孝之 埼玉医科大学総合医療センター血液内科講師

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