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間葉性異形成胎盤の臨床像 【不明な部分が多い胎盤の異常で,臨床診断基準と分子遺伝学的診断法の確立が急務】

No.4827 (2016年10月29日発行) P.58

青木早織 (熊本大学産科婦人科)

大場 隆 (熊本大学産科婦人科准教授)

片渕秀隆 (熊本大学産科婦人科教授)

登録日: 2016-10-26

最終更新日: 2016-10-25

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間葉性異形成胎盤(PMD)は肉眼的に囊胞状変化を示す胎盤の異常である1)。発生機序不明の稀な疾患であるが,約20%がBeckwith-Wiedemann症候群(BWS)を伴うことから,エピジェネティックな変異の関与が示唆されている。超音波断層法では部分胞状奇胎と類似している。さらに,胎児発育不全(FGR)や胎児死亡の危険性が高いとされ,臨床診断基準と分子遺伝学的診断法の確立は急務である。

わが国におけるPMD 47例の検討では,平均年齢は30.3±4.5歳で,妊娠継続した45例の17.8%が胎児死亡に至った。75.0%に早産,20.5%にFGRがみられ,39例が女児で,8例はBWSであった。生児の78.4%が低出生体重児,13例が極低出生体重児で,5例に貧血,3例に新生児DIC,2例に全身浮腫が認められた。胎盤/胎児重量比が大きいことは他の因子から独立した特徴であり,同一胎盤においても,PMDの病変は肉眼的かつ病理組織学的に不均一であった。
PMDの管理方針は今後の課題であるが,胎児死亡率は先行研究2)より低く,わが国の周産期医療体制はPMDの管理にも有効であることが示唆される。PMDを正確に評価するためには,胎盤の標本採取の段階から一定の基準を設ける必要がある。

【文献】

1) Moscoso G, et al:Pathol Res Pract. 1991;187 (2-3):324-8.

2) Pham T, et al:Am J Clin Pathol. 2006;126(1): 67-78.

【解説】

青木早織,1)大場 隆,2)片渕秀隆  熊本大学産科婦人科 1)准教授 2)教授

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