最近,胃食道逆流症(gastroesophageal reflux disease:GERD)の診断における食道インピーダンス検査の有用性が報告されるようになってきました。これまでは,下部食道の酸逆流を24時間評価するpHモニタリングが,胃食道逆流(gastroesophageal reflux:GER)の最も一般的な定量評価方法でした。食道インピーダンス検査でしかわからないこと,それがどのように治療に結びつくのかについて,浜松医科大学・川原央好先生にご解説をお願いします。
【質問者】
奥山宏臣 大阪大学大学院医学系研究科小児成育外科学教授
GERD診断のゴールドスタンダードは24時間食道pHモニタリング(以下,pHモニタリング)でした。しかし,2013年に発表された米国小児科学会のGERDの診療ガイドライン1)では,診断のための検査に造影や内視鏡とともに食道インピーダンスpHモニタリング(multichannel intraluminal impedance pH monitoring:MII-pH)も含まれており,海外では標準的な検査となってきています。pHモニタリングでは自動分析で算出された酸逆流時間率のみがGERDの診断に使われていましたが,MII-pHでは食道内pHにかかわらず食道内の液体や気体の移動について詳細な情報が提供されます。
MII-pH用カテーテルには,6インピーダンスチャネルと1(食道)ないし2(食道と胃)pHチャネルがあります。食道内のインピーダンスチャネルが空気を検知するとインピーダンス(電気抵抗)が上昇し,液体を検知するとインピーダンスが低下します(図1)。6チャネルのインピーダンスの変化で食道内の空気と液体の移動が示され,下部食道内pHの変化により食道内を移動する内容が酸性か非酸性かを判定します。
MII-pHが明らかにできることを列挙します。
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