オジルビー症候群(Ogilvie syndrome)は,機械的閉塞を伴わずに大腸が急激に拡張する病態であり,急性偽性大腸閉塞症(acute colonic pseudo-obstruction)とも呼ばれる。特に盲腸から上行結腸にかけての拡張が著明となる。高齢者,術後,感染症,神経疾患,電解質異常,薬剤(特にオピオイド・抗コリン薬)などが誘因となりうる。病態としては副交感神経の機能低下による腸管蠕動の低下が関与する。放置すれば腸管虚血や穿孔に至ることもあるため,迅速な対応が必要である。
まずは保存的治療が原則であり,減圧,電解質補正,薬剤中止など低侵襲な介入から開始する。多くはこの段階で改善するが,改善なき場合は薬物療法(ネオスチグミン),さらに内視鏡的減圧や外科的治療を段階的に検討する。
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