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薬剤溶出性ステントの光と影

No.4693 (2014年04月05日発行) P.57

海北幸一 (熊本大学循環器内科学講師)

小川久雄 (熊本大学循環器内科学教授)

登録日: 2014-04-05

最終更新日: 2016-10-26

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21世紀に入り,冠動脈疾患に対する薬剤溶出性ステント(drug-eluting stent;DES)を用いた冠血行再建術は,金属ステント(bare metal stent;BMS)留置例において20~35%認められた新生内膜増殖によるステント再狭窄を,ほぼ数%まで低下させることに成功した。2004年にわが国でも第一世代DESである,シロリムス溶出ステント(Cypher),パクリタキセル溶出ステント(Taxus)が相次いで保険償還され,使用されるに至った。しかし,DESの使用経験が増えるにつれて,DESはBMSと比較して生命予後をさらには改善させず(文献1),慢性期にはむしろ遅発性ステント血栓症や,ステント留置部位の内皮障害に起因する冠血管収縮反応など,BMSでは認められなかった新たな器質的・機能的異常を引き起こすことが明らかとなった(文献2~4)。
DES自体も改良が重ねられ,2010年前後からわが国の臨床現場に導入された第二世代DES(Endeavor,Xience/Promus,Nobori,Resolute-Integrity)では,第一世代DESに比べて器質的・機能的異常は改善していることが示されたが,いまだ完全な問題解決には至っていない。今後のDES留置における重要な課題と考えられる。

【文献】


1) Lagerqvist B, et al:N Engl J Med. 2007;356◆(10):1009-19.
2) Pfisterer M, et al:J Am Coll Cardiol. 2006;48◆(12):2584-91.
3) Luscher TF, et al:Circulation. 2007;115(8):◆1051-8.
4) Awata M, et al:Circulation. 2007;116(8):910-6.

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