慢性閉塞性肺疾患(COPD)の国際的ガイドラインGOLDは,2011年に大規模な改訂が行われ(文献1),治療の目標が症状および増悪や死亡などのリスクの軽減であることが明記された。症状および過去の増悪回数を勘案してCOPD患者を4群にわけ,各群に対する治療方針が提唱され,心血管疾患,骨粗鬆症,うつ病などの併存疾患を予後との関連から重要であると記載した。
一方,日本呼吸器学会『COPD(慢性閉塞性肺疾患)診断と治療のためのガイドライン 第4版』が2013年4月に出版され(文献2),運動耐用能だけでなく,身体活動性の向上および維持がCOPDの管理目標として明記された。喘息とのオーバーラップ症候群での吸入ステロイド,ロイコトリエン受容体拮抗薬の使用や,気腫合併肺線維症(CPFE)についても追加記載されている。震災など災害対応の記述も新たに加わっている。
また,プライマリケア医を対象とした,日本COPD対策推進会議編「COPD診療のエッセンス」が2014年3月に改訂された(文献3)。重症度判断,スパイロメトリー未実施でもCOPDの可能性が高い場合の治療開始,包括的な生活指導の言及など,臨床色の強いものとなっている。
1) Global Initiative for Chronic Obstructive Lung Disease(GOLD):Global Strategy for Diagnosis, Management and Prevention of COPD, 2014 updated.
2) 日本呼吸器学会COPDガイドライン第4版作成委員会 編:COPD(慢性閉塞性肺疾患)診断と治療のためのガイドライン. 第4版. メディカルレビュー社, 2013.
3) 日本COPD対策推進会議(日本医師会, 日本呼吸器学会, 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会, 結核予防会)編:COPD診療のエッセンス. 2014.