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神経膠腫に対するbevacizumabの効果

No.4713 (2014年08月23日発行) P.54

若林俊彦 (名古屋大学脳神経外科教授)

登録日: 2014-08-23

最終更新日: 2021-01-06

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近年の臨床試験では,新規分子標的治療薬が多く試みられているが,膠芽腫に血管新生の亢進が目立ち,またVEGF(vascular endothelial growth fac-tor)の発現亢進が予後不良因子と関連することから,血管新生阻害薬(抗VEGF抗体)のbevacizumab(アバスチンR)の治療効果が期待されている(文献1)。
わが国では,2009年よりテモゾロミド(TMZ)および放射線治療歴を有する再発悪性神経膠腫に対するbevacizumab単独療法(10mg/kg/every 2 weeks)の第2相臨床試験が実施され,有意な6カ月無増悪生存率の向上を認め,症状の改善やステロイド減量などが期待される結果となった(文献2)。また,全世界で展開された初発膠芽腫に対するStuppレジメンへbevacizumabを上乗せ(初期治療は10mg/kg/every 2 weeks,維持療法時は15mg/kg/every 3 weeks)する第3相二重盲検臨床比較試験(AVAglio study)では,有意な無増悪生存期間(PFS)の延長が確認された(文献3)。
以上の結果より,わが国ではbevacizumabは2013年6月に初発および再発の膠芽腫に適応が拡大され,その治療効果については臨床現場で有効性の検討が続けられている。
最近,bevacizumabとCPT-11,放射線の併用療法により,StuppレジメンをPFS・最終全生存期間(OS)ともに凌駕する報告(GLARIUS試験)がなされ,bevacizumabとの新たな併用療法が注目されつつある。

【文献】


1) Scott BJ, et al:Neuro Oncol. 2010;12(6):603-7.
2) Nagane M, et al:Jpn J Clin Oncol. 2012;42(10): 887-95.
3) Chinot OL, et al:N Engl J Med. 2014;370(8):709-22.

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