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世界初と期待されるヒトiPS細胞の臨床研究

No.4735 (2015年01月24日発行) P.52

汐田剛史 (鳥取大学遺伝子医療学教授)

登録日: 2015-01-24

最終更新日: 2016-10-26

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2013年8月1日より理化学研究所,先端医療振興財団,神戸市民病院機構の共同研究として,滲出型加齢黄斑変性に対する自家induced pluripotent stem cell(iPS細胞)由来網膜色素上皮(RPE)シート移植に関する臨床研究が開始された。本研究は,患者の皮膚細胞からiPS細胞を作製し,網膜色素上皮に誘導しシートとして網膜下に移植し,滲出型加齢黄斑変性の治療法の開発をめざすもので,今回の主な目的は安全性の確認に置かれている。
加齢黄斑変性は加齢に伴って黄斑部の機能が低下する。滲出型加齢黄斑変性では脈絡膜新生血管が生じ,血漿成分滲出や出血の結果,黄斑部の機能低下が生じる。症状は,物が歪んで見える,小さく見える,暗く見えるほか,視力の急激な低下,網膜剥離,出血などを呈することがある。本研究では,iPS細胞をRPE細胞に分化させシート状にして移植し,視機能を維持・回復させることをめざしている。
従来,本疾患の治療法として新生血管をレーザーで焼く方法が取られてきたが,治療後も変性した組織やRPEの障害が残ることが問題であった。そのため,これらを克服する可能性が期待される。患者皮膚細胞採取からRPE完成までに約10カ月かかる。移植後1年間を観察期間とし,最初の6カ月は毎月,以降は2カ月に1回,視力検査,眼圧検査,眼底検査,画像検査などを行い,安全性や視機能に対する有効性が評価される。世界初のヒトiPS細胞による臨床研究として期待されている。2014年9月には,世界初のヒトiPS細胞の臨床研究実施例が報告された。

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