株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

急性脳血管閉塞に対する治療の進歩

No.4749 (2015年05月02日発行) P.52

間中 浩 (横浜市立大学附属市民総合医療センター 脳神経外科)

登録日: 2015-05-02

最終更新日: 2021-01-06

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

わが国の急性脳血管閉塞の再開通療法は,2005年のrt-PA(アルテプラーゼ)静注療法の承認で幕を開けた。一方,カテーテルによる血栓除去は,再開通による出血性合併症の頻度を抑えて高い再開通率が得られるとして,2010年にMerciリトリーバルシステムが登場した。
その後,2011年に吸引によって血栓回収を試みるPenumbraシステムが,2014年にはステント型の血栓回収カテーテルが相次いで登場した。特にステント型の血栓回収カテーテルは,Merciリトリーバルシステムと比較して高い再開通率(TIMI2~3の再開通:68.5% vs. 30.2%)が得られると報告された(文献1)。
カテーテル治療は,rt-PA静注療法と比較して優位性が見出せない状況であったが,rt-PA静注療法群と主にステント型の回収器材を用いたカテーテル治療群でのランダム化比較試験で,治療後24時間の再開通率が32.9% vs. 75.4%,90日後のmodified Rankin scale 0~2の症例が19.1% vs. 32.6%であり,初めてカテーテル治療の優位性を示した研究結果がこのたび発表された(文献2)。
しかし,治療評価および治療適応の選択,再開通の定義や器材の有用性の評価方法などで共通見解がなく,今後,よりエビデンスレベルの高い研究報告の蓄積により治療方針が確立していくものと思われる。

【文献】


1) International Stroke Conference 2012 Abstracts online.
2) Berkhemer OA, et al:N Engl J Med. 2015;372(1):11-20.

関連記事・論文

もっと見る

関連書籍

もっと見る

関連求人情報

もっと見る

関連物件情報

もっと見る

page top