進行性内斜視(固定内斜視)は高度近視に関係する後天内斜視で,徐々に進行し最終的に眼球が内下方に偏位し,眼球運動制限を伴う。1969年にHugonnierが発表して以来,ここ数年までは原因や治療法について議論がされてきたが,明らかな原因や有効な治療法は確立されていなかった。近年CT,MRIなどの画像診断法の発達に伴い,発生機序が近視進行による眼軸の伸展によって生じる眼球後部の上直筋と外直筋の間からの筋円錐外への脱臼であることが判明した。
横山 連は,上直筋と外直筋の付着部位から15
mm後方を縫着することで,脱臼経路を閉鎖する術式を提唱した。本術式の追試報告では,長期にわたって眼位や眼球運動の改善が期待できるものとして発表し(文献1),世界的に横山法として広まっている。以下に当院で両眼の進行性内斜視に対して横山法を施行した症例を提示する。
1) Yamaguchi M, et al:Am J Ophthalmol. 2010;149(2):341-6.