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次世代シークエンスにより明らかになってきた色素異常症の原因

No.4765 (2015年08月22日発行) P.49

河野通浩 (名古屋大学皮膚科講師)

秋山真志 (名古屋大学皮膚科教授)

登録日: 2015-08-22

最終更新日: 2016-10-26

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色素異常症には,日本人が初めて報告し,現在でも報告者の名前で呼ばれている疾患がある。それは,色素斑と脱色素斑が混在した皮疹が四肢末端に出現する遺伝性対側性色素異常症(遠山),遺伝性対側性色素異常症の色素斑が全身に広がる遺伝性汎発性色素異常症(市川─平賀),そして,四肢末端に網目状の色素斑を認める網状肢端色素沈着症(北村)の3疾患である。
遺伝性対側性色素異常症の病因は,2003年に二重鎖RNA編集酵素をコードするADAR1の遺伝子変異であることが明らかになっていたが(文献1),ほかの2疾患については,疾患概念の提唱以来数十年間,病因は不明であった。しかし2013年,次世代シークエンスという新しい遺伝子解析技術を用いることにより,網状肢端色素沈着症は蛋白の細胞外ドメインを切断する酵素ADAM10(文献2)の,また,遺伝性汎発性色素異常症は膜輸送や糖化に関与するABCB6(文献3)の遺伝子変異が原因であることがわかった。
様々な色素異常症の原因遺伝子が次々と明らかになったことで,今後,皮膚の色に関する調整機構の全体像の解明が期待される。

【文献】


1) Miyamura Y, et al:Am J Hum Genet. 2003;73(3):693-9.
2) Kono M, et al:Hum Mol Genet. 2013;22(17):3524-33.
3) Zhang C, et al:J Invest Dermatol. 2013;133(9):2221-8.

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