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女性の動脈硬化性疾患発症予防のための管理指針

No.4772 (2015年10月10日発行) P.50

篠原康一 (愛知医科大学産科・婦人科准教授)

登録日: 2015-10-10

最終更新日: 2016-10-26

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産婦人科医師の心血管疾患に関する認識のアンケート調査によると,脂質異常症は有経患者の11.2%,閉経患者の31.5%にあり,ロジスティック回帰分析を行い交絡因子(年齢)で調整したところ,脂質異常症は閉経群でOR:2.816(2.066~3.838)と閉経が脂質異常症や高血圧の直接的原因になっていることが示された。動脈硬化リスク因子(脂質異常症・高血圧・糖尿病・冠動脈疾患・喫煙)の数については,リスク因子が1つ存在する有経患者は12.0%だったが,閉経患者では33.8%になり,2つ存在する有経患者は2.4%,閉経患者では11.0%,3つ以上は有経患者は0.5%,閉経患者では2.6%と,閉経により動脈硬化リスク因子が増加していた。また,閉経がこれらのリスク因子の発現に重要であることも明らかになった。
その上で,日本女性医学学会の委員会(若槻明彦委員長)の中で『女性の動脈硬化性疾患発症予防のための管理指針 2013年版』が作成された。冠動脈疾患の管理においては,我々産婦人科医は一次予防に重点を置くべきであり,そのためには冠動脈疾患のリスク因子のスクリーニングが必要である。リスク因子には冠動脈疾患の家族歴,糖尿病(耐糖能異常を含む),高血圧,脂質異常症,慢性腎臓病(CKD),喫煙などがあり,それぞれの管理が冠動脈疾患の発症予防に重要である。同管理指針には産婦人科医師が動脈硬化性疾患の予防医学を行う上で必要なエビデンスや管理方法について具体的に記されている。

【参考】

▼日本女性医学学会, 編:女性の動脈硬化性疾患発症予防のための管理指針 2013年版. ライフ・サイエンス, 2013.

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