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リアルとロジックで語る 糖尿病患者支援・コントロール

様々な症例に応用できる診療の選択肢を増やそう

定価:4,730円
(本体4,300円+税)

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編著: 岩岡秀明(鎗田病院糖尿病・内分泌内科部長)
判型: A5判
頁数: 324頁
装丁: 2色部分カラー
発行日: 2023年08月14日
ISBN: 978-4-7849-6378-2
版数: 初版
付録: 無料の電子版が付属(巻末のシリアルコードを登録すると、本書の全ページを閲覧できます)

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・悩みや課題を抱える糖尿病患者の多様なパターンを全48個取り上げ,支援・コントロールの視点で解決のためのバリエーションを紹介しました。
・本文はすべて以下の形式で解説を進めています。①基本的な考え方:診療の基本方針を簡潔に記載, ②具体的な治療手順:診療の進め方をstepに分けて解説,③うまくいかない場合はこうする:通常の対応では困難なパターンについて,一歩踏み込んだ考え方や対処法を紹介。
・様々なシチュエーションにおける対応の引き出しを増やし,患者さんも納得する最適な診療を行うためのエッセンスが満載の1冊!糖尿病診療に関わるすべての医療従事者に役立ちます。

目次

1章 境界型〜初期糖尿病患者へのアプローチ
1 糖尿病が疑われる患者への伝え方
2 自覚症状のない患者
3 体重管理ができない患者
4 運動嫌いの患者
5 食事療法を嫌がる患者
6 薬を飲みたがらない患者
7 教育入院が困難な患者
8 経口血糖降下薬併用の具体的な方法・うまくいかない患者
9 低血糖に不安を抱える患者
10 禁酒支援について
11 禁煙支援について
12 サプリメント・健康食品をどう考えるか
13 糖質制限ダイエットをどう考えるか
2章 働きざかりの糖尿病患者へのアプローチ
1 仕事が忙しい患者の通院継続
2 3食外食の患者の食事療法
3 不規則な生活(夜勤等)の就労者
4 肉体労働に従事する患者
3章 高齢糖尿病患者へのアプローチ
1 高齢患者における血糖コントロールと薬物療法のポイント
2 服薬アドヒアランス低下
3 インスリン注射手技が覚えられない患者
4 マルチモビディティの患者
5 咀嚼・嚥下困難な患者の食事療法
6 高齢者糖尿病の運動療法
7 認知症のある患者
8 がん患者
9 訪問看護との連携
4章 糖尿病が進行した患者へのアプローチ
1 長く放置されてきた患者の診断・治療
2 治療中断を繰り返す患者
3 インスリン導入を拒否する患者
4 他科へのコンサルテーションを拒む患者
5 入院拒否する患者
6 透析予防のための取り組み
7 患者が視覚障害を訴えるとき
8 足病変がある患者の生活上の注意点,療養支援
9 合併症が進行した患者(網膜症・腎症)の運動療法
5章 その他の課題へのアプローチ
1 挙児希望について
2 糖尿病合併妊娠
3 小児・思春期の糖尿病
4 小児科から内科への引継ぎ
5 うつ病のある患者
6 睡眠障害のある患者
7 肥満症患者の外科的治療
8 足病変予防のための療養支援
9 歯周病と糖尿病医科歯科連携推進のためのポイント
10 海外渡航時の対応
11 災害に対する備え
12 経済的問題を抱える患者
13 他職種との協働

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序文

『糖尿病治療ガイド2022-2023』において,糖尿病治療の目標が,前年までの「健康な人と変わらない人生」から「糖尿病のない人と変わらない寿命とQOL」に変更されました。その目標達成のため,様々な合併症の予防・進展阻止とともに,学会・協会によるアドボカシー活動によってスティグマ,社会的不利益,差別の除去をすることも大きく掲げられています。
また,スティグマや差別の原因になっているとして,「糖尿病」という病名自体の変更が日本糖尿病協会の理事長から提案され,大きな議論を呼んでいます。筆者は,もし病名を変更するならば,病態をきちんと表している「高血糖症」がよいと考えています。
このように,社会的不利益の除去や患者へのアドボカシーがますます重視される時代ですから,従来の「指導」「教育」という視点ではなく,「支援」「コントロール」という視点が重要になります。
こうした現状をふまえて本書を企画し,悩みや課題を抱える患者の多様なパターンを取り上げ,解説しました。全48項目の中で,合併症や併発症,小児期・妊婦・高齢者までの全ライフステージ,そして経済的な問題,災害時・海外渡航時など,様々な状況におけるアプローチを示しています。
各項目は,基本的に以下の形式で解説を進めています。冒頭では「基本的な考え方」として,診療の基本方針を簡潔に示しました。次に「具体的な治療手順」として,診療の進め方をstepに分けて解説しています。ここではガイドラインの記載やエビデンスを重視しつつ,教科書には掲載されにくい各執筆者の経験的治療についても,あえて触れています。最後に「うまくいかない場合はこうする」として,通常の対応では困難なパターンや抵抗感を示す患者のパターンを挙げ,一歩踏み込んだ考え方や対処法を紹介しています。
すべての項目において,テーマとしての「課題」に焦点を当て,解決のためのバリエーションを紹介することで,様々な症例に応用できる診療の選択肢を提示できるよう意識しました。診療において上手くいかないパターンを念頭に置き,対応の引き出しを持っておくことで,行き詰まってしまう機会を減らすことにつなげられればと思います。本書が糖尿病患者の診療において少しでもお役に立てば,編者として大きな喜びとなります。
最後になりましたが,とても難しい要望にも関わらず執筆して下さった先生方,そして本書企画の段階からご尽力された日本医事新報社書籍課スタッフの皆様に厚く御礼申し上げます。

2023年7月
鎗田病院糖尿病・内分泌内科部長 岩岡秀明

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