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遺伝性血管性浮腫(HAE)の治療 【C1インヒビター補充療法が推奨される】

No.4780 (2015年12月05日発行) P.53

古田俊介 (千葉大学アレルギー・臨床免疫学特任講師)

中島裕史 (千葉大学アレルギー・臨床免疫学教授)

登録日: 2015-12-05

最終更新日: 2016-10-26

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遺伝性血管性浮腫(hereditary angioedema:HAE)は,補体C1インヒビターの量的・質的異常によって発作性の浮腫を起こす稀な疾患であり,国の指定する特定疾患にも含まれている(“原発性免疫不全症候群”の中の一疾患)。C1インヒビターの異常によってブラジキニン産生が亢進し,皮膚や腸管,喉頭に浮腫が生じる。
2014年に改訂された日本補体学会のガイドラインによれば,発作時の治療はC1インヒビター補充療法(ベリナートR P)を優先的に推奨している。ベリナートR Pが入手困難な場合にはトラネキサム酸を選択する場合もありうる。ただし,喉頭浮腫に限っては補充療法のみを推奨しており,この点が2010年版との違いとなっている。また,2014年版では妊婦(妊娠中は発作を起こしやすい)や,小児の発作においても補充療法が第一選択という記載が追加されている。ストレス下での短期予防としての補充療法,長期予防としてのトラネキサム酸,ダナゾールの位置づけに関しては変更はなかった。なお,ステロイド,抗ヒスタミン薬,エピネフリンは症状緩和に役立つことがあるという意見もあるが,基本的に発作を抑えることはできず,ガイドラインにも登場しない。
いまだに医師の間での認知度が高いとは言えないが,喉頭浮腫による窒息や,腸管浮腫による急性腹症など,重篤な症状をきたしうることに加えて,補充療法による改善が期待できることから,常に念頭に置いておくべき疾患のひとつと思われる。

【参考】

▼ 堀内孝彦:補体. 2014;52(2):22-3.

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