緑内障においては近年,光干渉断層計(optical coherence tomography:OCT)の出現により,網膜神経線維層の減少を客観的にとらえることが可能になった。緑内障における視野変化は一定以上の神経節細胞が消失してから生じることが明らかになっている。OCTにより視野検査で異常が出る前の極早期緑内障(preperimetric glaucoma)の検出が可能になった。どの時点から治療を開始すべきかについては議論の余地がまだあるにせよ,緑内障を早期に治療開始できるようになったことから,緑内障の診察にOCTは欠かせないものになってきている。
また,薬剤では従来からあるプロスタグランジン(PG)関連薬が各社より発売されるようになり選択肢が広がっている。ほかにも,PG関連薬とβ遮断薬,もしくはβ遮断薬と炭酸脱水酵素阻害薬(CAI)の配合薬が日本でも発売されるようになり,点眼本数が多くなりがちな緑内障患者には非常に便利になった。近年では線維柱帯を新しくターゲットとしたRhoキナーゼ(ROCK)阻害薬も発売され,さらに選択の幅が広がっている。
手術においてもチューブシャント手術に使用するデバイスとして,バルベルト緑内障インプラント(文献1)とエクスプレス緑内障フィルトレーションデバイス(文献2)の使用が開始され,従来手術が困難であった症例にもより安全に対応できるようになってきている。このように,近年における緑内障治療の進歩は目覚ましく,今後もさらなる進化が期待されている。
1) 谷戸正樹:あたらしい眼科. 2014;31(4):541-2.
2) 杉山哲也:臨眼. 2013;67(1):14-21.