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ホジキンリンパ腫に対する新規薬物療法 【再発・難治例にも効果】

No.4782 (2015年12月19日発行) P.52

安藤 純 (順天堂大学血液内科准教授)

小松則夫 (順天堂大学血液内科主任教授)

登録日: 2015-12-19

最終更新日: 2016-10-26

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ホジキンリンパ腫の治療は,限局期にはABVD(ドキソルビシン+ブレオマイシン+ビンブラスチン+ダカルバジン)療法4コースに放射線療法を併用し,進行期にはABVD療法6~8コースを行うのが初回標準治療である。ほかの悪性リンパ腫より予後は良いが,再発・難治例では救援化学療法後に自家造血幹細胞移植を行う必要がある。救援化学療法に不応例や移植後再発例では予後が悪く,従来の薬剤では治療に限界がある。その再発・難治例に対する新規薬剤が2014年に日本で承認されたブレンツキシマブ べドチン(BV)である。BVは抗体薬物複合体と呼ばれ,モノクローナル抗体に抗癌剤を化学結合させた薬剤である。
BVはホジキンリンパ腫のホジキン細胞やReed-
Sternberg細胞に発現するtumor necrosis factor receptor familyに属するCD30抗原に選択的に結合する。複合体として細胞内へ取り込まれ,抗癌剤が抗体から切り離されることで細胞中で放出され,抗腫瘍効果を発揮する(文献1)。海外第2相試験では,自家造血幹細胞移植後再発例に対する治療でも奏効率75%,完全奏効率33%と良好な成績が報告されている。主な副作用はリンパ球減少,好中球減少,末梢性感覚ニューロパチーなどである(文献2)。
初回治療でABVD療法とBV+AVD(ドキソルビシン+ビンブラスチン+ダカルバジン)療法を比較するなど,現在,世界中で臨床試験が多数進行しており,今後の治療効果の改善が期待されている。

【文献】


1) Katz J, et al:Clin Cancer Res. 2011;17(20):6428-36.
2) Younes A, et al:J Clin Oncol. 2012;30(18):2183-9.

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