株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

最近の糖尿病黄斑浮腫の診療 【抗VEGF治療やレーザー光凝固などを組み合わせて最大の治療効果を】

No.4786 (2016年01月16日発行) P.54

堀江真太郎 (東京医科歯科大学眼科)

大野京子 (東京医科歯科大学眼科教授)

登録日: 2016-01-16

最終更新日: 2016-10-26

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

近年の糖尿病網膜症診療の進歩として糖尿病黄斑浮腫に対する抗血管内皮増殖因子(vascular endothelial growth factor:VEGF)治療が挙げられる。現在ルセンティスR,アイリーアRの2つの眼科用製剤が国内で認可されており,治療の主役となりつつある。これまでは糖尿病黄斑浮腫に対してレーザー光凝固,トリアムシノロンの眼局所注射,硝子体手術などが行われてきた。これら既存の治療法との比較において抗VEGF治療の有効性を示す報告が多数ある。しかし,本薬剤は単回投与で長期持続的な効果が得られるものではなく,定期的な反復投与を必要とする例も多い。このため,薬価が高いことから医療コストが問題視されている。また,抗VEGF治療の効果が低いあるいは無効な症例があることも事実である。一方で,レーザー光凝固装置も低出力閾値下凝固など新しい技術も試みられており,今後複数の治療法をいかに組み合わせてコストベネフィットの観点からも最大の効果を得られるか模索される動きにある。
診断面では光干渉断層計(optical coherence tomography:OCT)が高解像度となり,黄斑浮腫の形態や浮腫による網膜組織のダメージをより精密に評価することができるようになった。また最近,OCT angiographyが開発され,造影剤の使用なしに黄斑部の微細な血管病変が診断可能となった。将来的に従来の蛍光眼底造影検査に取って代わりうる技術である。

【参考】

▼ Diabetic Retinopathy Clinical Research Network:N Engl J Med. 2015;372(13):1193-203.

関連記事・論文

関連書籍

もっと見る

関連求人情報

関連物件情報

もっと見る

page top