『喘息予防・管理ガイドライン2012』が改訂され,2015年版が発行された(文献1)。以下にその改訂のポイントを記す。
第1章(総論)では,喘息の定義が「気道の慢性炎症を本態とし,臨床症状として変動性を持った気道狭窄(喘鳴,呼吸困難)や咳で特徴付けられる疾患」と簡素化されて理解が容易になった。また,「喘息治療の目標」が7項目から5項目へ整理された。
第2章(疫学)では,喘息死に関するデータは2013年までの内容が反映された。
第4章(病態生理)では,大量のIL-5,IL-13を産生しうる細胞として,グループ2自然リンパ球(ICL2)の関与が追加された。
第7章(薬物療法)では,長時間作用性抗コリン薬(LAMA)が新たな喘息長期管理薬に加わった。また,治療が奏効しない場合の対処法が「難治例への対応」として表と図にまとめられた。診断の見直しや服薬アドヒアランス・吸入手技の確認,増悪因子・合併症の管理が正しいかどうかなど,実地臨床に即した内容である。
第8章(種々の側面)では,喘息の合併症として「好酸球性副鼻腔炎」の画像や診断のフローチャートが追加された。
加えて,2015年版ではCOPDが「合併症」のところに「Asthma-COPD Overlap Syndrome:AC
OS」として独立し,解説が増えた。
1) 日本アレルギー学会喘息ガイドライン専門部会, 編:喘息予防・管理ガイドライン2015. 協和企画, 2015.