骨髄異形成症候群(MDS)の治療法の決定にはInternational Prognostic Scoring Systemが用いられ,低リスクと高リスクにわけられた治療のアルゴリズムが一般的である。
MDSの約70%を占める低リスクMDSの基本的な治療方針は,輸血依存の回避である。海外では,低リスクMDS患者における貧血改善を目的としてエリスロポエチン(EPO)(±顆粒球コロニー刺激因子:G-CSF)が推奨され,血清EPO濃度500U/L未満,月間輸血量4単位未満を満たす例ではEPO+G-CSFが74%に有効とされる(文献1)。ガイドラインではEPO±G-CSF治療が推奨されている。有効例の目安である血清EPO濃度500U/Lではヘモグロビン濃度8g/dL程度が閾値であることが示された(文献2)。すなわち,低リスクMDS患者でヘモグロビン濃度8g/dL以上の患者では血清EPO濃度500U/L未満が多く,EPO皮下注の有効性が期待できるということである。
低リスクMDS治療は,輸血依存の回避のため様々な治療が試みられているが,EPO製剤の導入により,ようやく海外のアルゴリズムに近づきつつあり,さらにEPOを基軸とした治療法の展開が望まれるようになった。
1) Hellstrom-Lindberg E, et al:Br J Haematol. 2003;120(6):1037-46.
2) Suzuki T, et al:Int J Hematol. 2015;101(1):32-6.