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爪白癬に対する新規外用薬エフィナコナゾール 【副作用が少ない簡便な薬剤で,内服困難な患者への効果に期待】

No.4798 (2016年04月09日発行) P.55

北見由季 (昭和大学皮膚科准教授)

登録日: 2016-04-09

最終更新日: 2016-10-26

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爪白癬治療の第一選択は経口抗真菌薬で,テルビナフィンまたはイトラコナゾールが広く使用されている。しかし経口薬は併用禁忌および注意薬が多く,高齢者や多剤内服中の患者に対しては使用を躊躇することも多い。また,副作用を懸念し服用を希望しない患者もいる。
2014年9月,わが国で初めて新規トリアゾール系化合物のエフィナコナゾールを有効成分とする外用爪白癬治療薬が上市された。本薬は真菌細胞膜のエルゴステロール生合成経路上におけるラノステロールの14位メチル基の脱メチル化反応を阻害して,抗真菌作用を発揮する(文献1)。爪白癬の主な原因真菌であるTrichophyton rubrum,T. mentagrophytesに対し高い抗真菌活性を示している(文献2)。また,ケラチン親和性が低いため,爪中で活性を維持し,爪甲および爪床で高い抗真菌活性を発揮する(文献3,4)という特徴がある。1日1回爪全体に塗布するのみの簡便な液剤である。副作用は塗布部の皮膚炎がほとんどで,全身にはない。治りにくい楔状の混濁や内服が困難な患者への治療効果が期待される。使用上の注意に「直接鏡検または培養等に基づき爪白癬であると確定診断された患者に使用すること」とある。視診のみでむやみに処方することなく,適切な検査と診断も重要である。

【文献】


1) Tatsumi Y, et al:Antimicrob Agents Chemother. 2013;57(5):2405-9.
2) Jo Siu WJ, et al:Antimicrob Agents Chemother. 2013;57(4):1610-6.
3) Tatsumi Y, et al:Antimicrob Agents Chemother. 2002;46(12):3797-801.
4) Sugiura K, et al:Antimicrob Agents Chemother. 2014;58(7):3837-42.

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