No.4807 (2016年06月11日発行) P.54
渡邊清高 (帝京大学内科学講座腫瘍内科准教授)
登録日: 2016-06-11
最終更新日: 2016-10-26
「がん対策推進基本計画」に基づき,がん診療連携拠点病院・市区町村・医療従事者・住民を含めた多様な立場の参画のもと,地域の特性をふまえたがん対策が進められている。しかし,がん死亡率やがん検診受診率などの指標が示す格差は地域ごとに大きく,効果的な対策を実践プロセスに導くことが喫緊の課題と言える。
がん対策の分野は予防検診,医療から,情報提供・教育・就労などの社会的な領域まで拡大しつつあり,実効性のある施策を講じることが求められる。また,既存のネットワークの活用や他県の取り組みを参考とした対策が有効と考えられる。県域,医療圏,拠点病院など,評価検証・改善を行う協議体の機能と役割を明確にする必要がある。
医療介護総合確保推進法に基づき,2016年半ばをめどに地域医療構想の検討が進められている(文献1)。医療機関が報告する医療機能をもとに,将来の需要予測に基づいた機能分化・連携の推進をめざすこととされ,「協議の場」を設置することをはじめ,病床機能の転換を含む役割が与えられることになった。医療圏・病院ごとにS(structure),P(process),O(outcome)に関連するデータを一望できる病床機能報告やDPCデータなどを整理統合し,アンケートやタウンミーティングなどのニーズ調査をもとに議論がなされようとしている。地元の医療計画やがん対策推進計画(文献2)を一読されることをお勧めしたい。
1) 厚生労働省:地域医療構想策定ガイドライン. 2015.
2) 国立がん研究センター:地域のがん情報.
[http://ganjoho.jp/reg_stat/cancer_control/prefectures/index.html]