慢性リンパ性白血病(chronic lymphocytic leukemia:CLL)は成熟Bリンパ球のクローナルな増殖を認める疾患で,表面マーカーとしてCD5とCD23の発現を特徴とする。欧米と比較して日本では極端に少ない疾患である。ゆっくりとした臨床経過を示すことが多いが,一部に進行が速く,予後不良な症例も存在する。
従来からのRaiやBinetによる病期分類で病期を決定し,治療開始時期を判断する一方で,近年では遺伝子異常(免疫グロブリン重鎖遺伝子変異)やCD38,ZAP-70発現の有無,染色体異常(11qや17pの欠失)によりリスクを層別化し,治療戦略を検討する必要がある。特に染色体17p欠失の症例は治療抵抗性で予後不良であるが,CLLは通常の染色体分析では分裂期の細胞が得られにくいため,FISH検査による確認が必要である。
治療薬ではrituximab(CLLでは国内保険適用外)を併用するフルダラビン(FLU)を含む治療が世界的な標準治療として実施されるが,新規抗CD20抗体であるオファツムマブ,抗CD52抗体であるアレムツズマブも日本国内で再発・難治性CLLに対しての使用が可能になっている。また,ブルトン型チロシンキナーゼ阻害薬であるイブルチニブのCLLに対する有効性が報告(文献1)され,海外では難治性症例に対する推奨治療となっており,今後の位置づけはさらに重要になってくることが予想される。
1) Burger JA, et al:N Engl J Med. 2015;373(25):2425-37.