No.4812 (2016年07月16日発行) P.57
渡邊清高 (帝京大学内科学講座腫瘍内科准教授)
登録日: 2016-07-16
最終更新日: 2016-10-29
がん対策推進基本計画(2012年策定)に基づき,がん診療連携拠点病院が2次医療圏をカバーするように指定され,医療・研修・がん登録などの様々な役割を担っている。2014年の整備指針の変更(文献1)により,緩和ケア領域では,緩和ケア研修会の実施を進めることに加え,苦痛のスクリーニングの実施,緩和ケアチームによる迅速な対応といった拠点病院内の体制強化とともに,退院後における継続した症状緩和の重要性が示された。
拠点病院の機能にはがん医療の提供にとどまらず,看取り期を含めた地域完結型の緩和ケアの充実に向けたコーディネーターとして,現状把握・連携協力体制の整備も含まれる。さらに,医療圏内の緩和ケア病棟や在宅緩和ケアが提供できる診療所などのマップやリストを作成するなどの情報提供機能が整備指針にも盛り込まれている。
在宅の療養資源や緩和ケアに関する情報は,病院の連携部門や相談支援部門が取りまとめていることが多いが,都道府県のがん対策課や情報提供・相談支援の協議会で,県内や地域一円の情報を収集・更新し,地域の療養資源として患者市民向けにも広く提示している地域が増えてきている(文献2)。こうした情報が参照され活用されることで,関係者の情報共有や議論の機会が増え,現場や地域での連携が深まることが期待される。
1) 厚生労働省:がん診療連携拠点病院等の整備について. 2014. [http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/dl/gan_byoin_03.pdf]
2) 国立がん研究センターがん対策情報センター:都道府県などの療養情報冊子一覧. [http://ganjoho.jp/public/support/prefectures/brochures.html]