喘息患者の5~10%を占める重症喘息は,高用量の吸入ステロイドおよび長期管理薬による治療にもかかわらず「コントロール不良」となる喘息であり,そのうちの多くは好酸球性の気道炎症が関与している。Th2細胞により産生されるインターロイキン5(interleukin-5:IL-5)は,好酸球の増殖・分化・活性化に関わる主要なサイトカインである。ヒト化抗IL-5モノクローナル抗体として開発されたメポリズマブ(ヌーカラⓇ)は,好酸球表面に発現するIL-5受容体α鎖へのIL-5結合を阻止することにより,好酸球の増殖・活性化・生存を抑制し,喘息症状を改善する。
メポリズマブは,投与前の血中好酸球数が多いほど喘息増悪に対する抑制効果が大きい傾向があり,好酸球数が治療開始時で150/μL以上,または過去12カ月間に300/μL以上というのが使用の1つの目安となっている。重症喘息を対象とした第3相臨床試験では,プラセボと比較して喘息増悪の発現頻度の減少,FEV1の増加,SGRQの改善,経口ステロイド使用量の減量を認めた。
成人および12歳以上の小児にはメポリズマブ1回100mgを4週間ごとに皮下注射する。既存治療によっても喘息症状をコントロールできない,難治の喘息患者に対する新たな治療薬として期待されている。
【参考】
▶Ortega HG, et al:N Engl J Med. 2014;371(13):1198-207.
【解説】
小林信之 国立病院機構東京病院統括診療部部長