日本医師会の横倉義武会長は16日の会見で、2020年東京オリンピック・パラリンピックに際して求められる医療体制の整備について、「2019年にラグビーワールドカップが日本で開催され、五輪のプレイベントが始まることを考えれば、18年夏までには作り上げておく必要がある」との認識を示した。
東京五輪は2020年7月下旬~8月上旬、パラリンピックは8月下旬~9月上旬に開催予定。五輪期間中は熱中症リスクが1年で最も高くなる時期と重なり、パラリンピックでは特にケアの必要な障害者の観客も多いと予想される。また、一般医療機関でも外国人受診者の増加が見込まれ、保険未加入者による医療費未払いや宗教上のタブーへの配慮など、懸念事項も多い。
このため、日本医師会と東京都医師会は16日までに塩崎恭久厚生労働相、五輪組織委員会などに熱中症対策の充実や、外国人が適切に医療を受けられる環境の整備などを求める要望書を提出。救急系の学会とも連携し、首都圏の医師会を中心とする医療体制の検討を進めている。
会見で横倉会長は、体制整備に向けた対策の検討が必要な課題として「救急搬送」を挙げ、「東京周辺の救急搬送体制は既に手一杯になっている。2020年に向けて病院救急車の活用などをもっと考えるべきだ」と述べた。