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喀血[私の治療]

No.5248 (2024年11月23日発行) P.34

宮城隆志 (横浜労災病院救急科)

中森知毅 (横浜労災病院救命救急センター長)

登録日: 2024-11-20

最終更新日: 2024-11-19

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  • 喀血の原因疾患の重症度だけでなく,バイタルサインや喀血量の把握により緊急度を判断し,入院経過観察や気管挿管などの緊急処置の必要性を判断する。

    ▶病歴聴取のポイント

    喀血は咽頭よりも下位の気道からの出血であり,吐血との鑑別が必要である。患者は「血を吐いた」と訴えがちで,吐血か喀血かを判別するのが難しいことがある。基本的に,喀血は咳嗽によって血が出ることであり,吐血は嘔吐と同時に血が出ることであるが,吐血を誤嚥することで喀血様の症状を呈することがある点に留意すべきである。

    血痰は喀痰に血液が混じった状態で,喀血の前兆となることがあるが,出血量は通常少ない。悪性腫瘍のリスクを考慮する際には,喫煙歴や社会的・職業的背景も重要であり,血痰の原因別頻度では,男性のほうが2倍以上高い傾向がある。喀血を主訴に受診する場合,患者や家族は動揺しており,正確な出血量を把握できないことがあるが,喀血量や状況について具体的に聴取することが重要である。

    ▶バイタルサイン・身体診察のポイント

    バイタルサインだけでなくABCDEアプローチが重要である。SpO2を測定するだけでなく,呼吸努力はないか,脈拍,血圧やその他循環不全徴候からショック状態に至っていないかを判断する。

    身体診察では,循環器系疾患として心雑音,心不全徴候や,膠原病などの全身性疾患の皮膚病変や血尿に加え,皮下出血や点状出血など出血傾向を示す所見も見落とさないようにする。

    大量喀血の定義は諸説あり,100~1000mL/日と幅がある。重症度としては持続時間や増悪傾向なども考慮する。

    WEBコンテンツ「血痰・喀血をみたときの診断の進め方」

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